原作者: アンガス・バーウィック
原文翻訳: ルフィ、フォーサイトニュース
スイスのアルプスの町ルガーノでは、世界最新の億万長者の一人であるジャンカルロ・デヴァシーニが人里離れた生活を送っています。彼は湖畔の質素なアパートに住み、黒いパーカーを着て石畳の道を散歩しながら、自分のビジネスを破壊しようとしていると信じるアメリカの競争相手に対して怒りを募らせている。
デヴァシニ氏は、暗号通貨業界に欠かせないデジタルドルUSDTを発行する企業、テザー社の主要所有者の一人です。 USDTの中心的存在であることで、デヴァシニ氏は莫大な財産を築き、暗号通貨業界に大きな影響力を持ち、トランプ大統領の主要同盟者の一人からの支持も得ている。
批評家は、USDT は犯罪組織が世界中で資金を移動するための最適なツールになっていると指摘している。
デヴァシニ氏のビジネス帝国を転覆させようとした強力なライバルはジェレミー・アレール氏だ。アレール氏のサークル社はテザー社の宿敵であり、USDCと呼ばれるステーブルコインを発行している。アレール氏はスーツを着た経営者であり、ダボス、ウォール街、あるいは議会の会場でも同じように落ち着いている。彼は規制を通じてUSDTを排除するキャンペーンを開始している。
デヴァシニ氏はビジネスパートナーに対し、サークルが政治家に対してUSDTの信用を傷つけ、テザーに対する法執行措置を扇動していると伝えた。デヴァシニ氏にとって、サークルは業界を金融の単なる規制された一角に変えたいと考えているが、一方で暗号通貨はその大胆で因習打破的なルーツに忠実であり続けてほしいと考えている。
テザーのCEO、ジャンカルロ・デヴァシーニ氏（2014年、ミラノ）
数か月前、デヴァシニ氏はパートナーにこう語った。「USDTが存在する限り、Circleは勝てないだろう。」
この戦いで危機に瀕しているのは、3兆ドル規模の暗号通貨業界の将来だ。仮想通貨推進派のトランプ政権は、日曜日に仮想通貨戦略準備金の計画を発表し、仮想通貨業界の黄金時代を導くはずだった。しかし現実には、政府の規制を通じて暗号通貨を主流にするという呼びかけが、暗号通貨のプレイヤーの間で生死を賭けた戦いを引き起こしている。この法律は暗号通貨業界全体にとって友好的なものになると期待されているが、USDTのように新しい規則に反する立場をとる個々のプレーヤーにとっては壊滅的なものとなる可能性がある。
アレール氏は、米国やその他の国の政府に対し、国外で発行されたUSDTトークンの使用を禁止する法律を制定するよう促している。欧州連合では昨年12月に同様の法律が全面施行され、米国でも同様の法案が提案されている。
USDT は誰もが認める業界のリーダーであり、暗号通貨取引の 5 件中 4 件でそのステーブルコインが使用されています。デバシニ氏が半分の株式を保有するUSDTホールディングスは、昨年の利益が130億ドルで、ブラックロックの2倍に達したと発表した。利益は主に、米ドルと1:1で連動するUSDTの価値を支える、極めて安全な米国債の大量保有によるものだ。
アレール氏は議会で頻繁に証言し、USDTを犠牲にしてCircleに利益をもたらすようなより厳しい規制を求めている。昨年、アレール氏の最高幹部の一人は、USDTがテロ資金に利用されているとして、議員らにUSDTを標的にするよう促した。ウォール・ストリート・ジャーナルは昨年10月、米国司法省と財務省がUSDTが金融犯罪法に違反した可能性があるかどうかを調査していると報じた。
「我々はUSDCをデジタルドルの選択肢にしたい」とアレール氏はインタビューで語った。
暗号通貨会社Circleの創設者、ジェレミー・アレール氏
対照的に、デヴァシニ氏はスポットライトを避け、公の場で話すことはほとんどない。 60歳の同氏はUSDTの名目上の最高財務責任者を務めており、同社は月曜日に同氏が会長に就任すると発表した。実際、彼は常に会社の運営を担当してきた ― 彼が配った名刺には「役職なし、職務なし、何もなし」と書かれていたにもかかわらず。同僚らによると、彼は舞台裏で、大量のUSDT国債準備金を保有するカンター・フィッツジェラルドを経営するハワード・ラトニック米商務長官のような同盟者に、サークルが支持する敵対的な法案を廃案にするよう期待していたという。ルトニック氏は2月にトランプ政権の閣僚ポストを打診された後、カンター・フィッツジェラルドを辞任した。
両社は相手方について直接コメントすることを拒否した。アレール氏は、サークルは「規制されていないお金の世界」に焦点を当てているのではなく、100兆ドル規模の合法的なデジタル通貨市場全体に焦点を当てていると述べた。 2月に、暗号通貨のYouTuberがデヴァシニ氏の代理人パオロ・アルドイノ氏にサークルについて質問したところ、同氏はニヤリと笑いながら「その名前はあなたが言ったんだ、私が言ったんじゃない」と答えた。
USDTは繰り返し犯罪者への援助を否定し、法執行機関に協力していると述べた。
ドルを悲鳴させる
デヴァシーニはイタリア人で、多彩な経歴を持っています。彼は当初ミラノで形成外科医として働き、その後香港で電子機器の輸入ビジネスを立ち上げた。 1995年、イタリアの検察は、ソフトウェアの著作権侵害組織を運営していたとして彼を詐欺罪で起訴した。デヴァシニ氏は当局と司法取引を成立させ、マイクロソフトに和解金を支払った。
その後、彼は新興の暗号通貨業界に関わるようになり、約10年前にチャンスを見つけました。暗号通貨企業は、自社のデジタル通貨を現実世界の銀行システムに接続できません。
パオロ・アルドイノはデヴァシーニの主要代理人の一人であり、USDTを代表して公の場に頻繁に登場している。
USDT は 2014 年に開始され、この問題を解決することを目的として英領バージン諸島に登録されています。トレーダーは現実世界の通貨を米ドルに固定された USDT に交換し、このステーブルコインをブロックチェーンを通じてほぼ瞬時に他のトークンに変換することができます。
デヴァシニ氏の見解では、USDT は伝統的な金融を覆すことを目的としている。芸術家である彼の妻は、ジョージ・ワシントンが叫んでいるドル紙幣の絵を展示したが、彼女はその紙幣には「もはや価値がない」と考えている。
アライアの使命は異なります。 53歳のアメリカ人は、フラッシュアニメーション技術の先駆者であるソフトウェア会社マクロメディアで最高技術責任者を務めた、シリコンバレーのベテラン起業家である。アレール氏は、USDT が発売される 1 年前にボストンで Circle を設立し、国際決済で問題を引き起こすことが多い非効率で複雑な銀行ネットワークを改善するため、インターネット時代の新しい金融システムを構築したいと考えていました。
ベンチャーキャピタル企業ジェネラル・カタリストのCEOヘマント・タネジャ氏は、仮想通貨コミュニティの大半のメンバーは規制されていない市場を好むが、規制当局と協力してサークルを成長させるというアレール氏の戦略は皮肉にも「逆張りの賭け」だと語った。
タネハ氏や、フェイスブックへの初期投資で知られるベンチャーキャピタリストのジム・ブレイヤー氏を含む他の著名な米国の投資家たちは、アレール氏の構想を支持することを約束している。その後、ゴールドマン・サックス、ブラックロック、フィデリティ、暗号通貨取引所コインベースも投資した。アレール氏は引き続きサークル社の最大の個人株主である。
アレール氏が送金ライセンスの取得を目指していたとき、規制当局は懐疑的だった。詐欺師がはびこる、歴史が浅く未熟な業界において、彼はすぐに最も信頼できる大人としての評判を獲得した。 2013年後半、アレール氏は初めて議会で証言し、犯罪行為を防止するために米国が暗号通貨の規制を主導するよう求めた。
「彼は私が知る限り、ワシントンの有力政治家との交渉に最も長けた人物だ」とブレイヤー氏は語った。
2020年、暗号通貨取引が主流になると、CircleとUSDTは互いに非難し始めました。
同年1月、アレール氏はツイッターに「USDTの最大の特徴は、非コンプライアンスと不透明性だ」と投稿した。同氏は、USDTが金融システムを回避したい人々の選択肢になっていると指摘した。
サークルは米国およびその他の国の当局に宛てた書簡の中で、規制されていないステーブルコインが消費者に及ぼす可能性のある危害について警告した。同年7月、サークル社は、国際金融を監視する国際機関である金融安定理事会に対し、マネーロンダリングの捜査で当局が大量のUSDTを押収した後、USDTが一時的にドルとの連動性を失った2年前の事件を指摘した。サークル社は、この事件は、こうしたステーブルコインが問題を抱え、消費者の仮想通貨資産を失わせる可能性があることを示していると述べた。
Circle は透明性を推進し、2021 年に監査済み財務諸表を公開しました。その後、同社はデロイトを雇い、主に米国債だが短期国債ローンや現金も含まれるドル準備金を網羅した総合的な月次報告書の監査を依頼した。
対照的に、USDT が公開した財務諸表は詳細がはるかに簡潔で、ニューヨーク州の規制当局の要請に応じてのみ公開されました。 USDT には、財務準備金を補うためにビットコイン、商業ローン、金、その他の不特定の投資も含まれています。
ウォール・ストリート・ジャーナルが確認したメッセージによると、デバシニ氏はサークルとの不公平な比較についてパートナーに苦情を述べた。同氏はUSDCを「クソコイン」と呼び、評判の問題から監査人がUSDTとの取引に消極的だと述べ、誰かがオンラインで同氏の会社に関する噂を広めていると主張した。
「良質資産へのシフト」
何年も平凡なリターンが続いた後、USDT と Circle は 2022 年に予想外に巨額の資金流入を受けました。 Fedが金利を引き上げると、USDT保有の米国債からの収入は年間数千万ドルから四半期あたり数億ドルに急増します。
香港の監視スクリーンには、USDTやUSDCを含むさまざまな暗号通貨の価格が表示されている。
デヴァシニは臨時収入のほとんどを自分のために使わなかった。彼はよく、擦り切れたトラックスーツを着て、「Dummy」とプリントされた帽子をかぶり、肩紐から鍵や記憶装置の束をぶら下げて会議に出席していた。それにもかかわらず、彼は今でも USDT が毎日どれだけの収益をもたらしているかを仲間に自慢するのが好きです。
彼はまた、新たに得た富のせいで世間の批判の的になっていると感じていた。その年の12月、バハマでの会議で、デバシニ氏はビジネスパートナーに対し、USDTは米国主導の国際銀行秩序に脅威を与えており、ホワイトハウスはいつでもUSDTの停止を試みることができると考えていると語った。
同時に、Allaire は伝統的な金融の世界とのつながりを深めています。 2022年末時点で、サークルは準備金の大部分を世界最大のカストディ銀行であるバンク・オブ・ニューヨーク・メロンに保有し、一部の現金は他の規制金融機関にも保有される予定だ。ブラックロックは米国債ポートフォリオを管理しています。
USDTに詳しい人々によると、同社は主にデヴァシーニ氏と、闘志あふれるイタリア人コンピュータープログラマーのアルドイノ氏を含む業界外出身の少数の人物によって運営されている。 Circle には数百人の従業員と、元企業幹部で構成される取締役会が存在します。
USDCが徐々に競合他社に追いつくにつれて、アライア氏は「質の高い資産に移行している」とツイートし、トレーダーがUSDTを放棄してUSDCを選択していることを示唆した。
しかし、2023年3月にシリコンバレー銀行が破綻すると、サークルは30億ドル以上の現金準備金が閉じ込められ、困難に陥った。パニックに陥ったトレーダーはUSDCを売り払い、その価格は87セントまで下落した。
USDT は、シリコンバレー銀行の破綻の影響を受けていないと主張し、Circle の傷口に塩を塗り込む機会を得た。トレーダーらがUSDTに再び殺到する中、アルドイノ氏はツイッターで「安全な場所に移動してください」と反撃した。
規制当局がシリコンバレー銀行を救済した後、USDCは米ドルとのペッグ制を回復した。残りの年の間に、USDC から約 200 億ドルが流出しました。
アルドイノ氏は、保証のない現金預金で準備金を保有するサークルのようなステーブルコイン企業には「本当に警戒する」べきだと警告し、USDTも数年前に資金を差し押さえられたにもかかわらず、USDCは銀行破綻に対して脆弱であると述べた。アレール氏は、サークルは顧客に償還を提供するために、BNYメロンや他の大手国際銀行の外で現金準備金のわずかな部分を保有する必要があると述べた。
同年6月、アレール氏は、厳格な準備金要件を課し、発行者が連邦準備銀行に現金を保有できるようにするステーブルコイン法案を可決するよう議会に請願した。同氏はUSDTを激しく攻撃し、海外で発行され「米国の規則に従わない」デジタルドルの流通を禁止する措置を求めた。 「最悪なのは、彼らがアメリカの国益と安全保障を損なっていることだ」と彼は語った。
彼と彼の部下たちは日本、シンガポール、欧州連合、ブラジルなど世界中を旅し、他の政府にステーブルコイン法を制定するよう助言したり、地元のサークル顧客が規制対象の機関と直接取引できるように外国の銀行パートナーと契約したりしてきた。
サークルは進歩する
昨年、ルガーノの自宅で、デヴァシニ氏は規制措置の強化とUSDTが犯罪行為に使用されているとの疑惑の両方から生じる法的規制の強化に不安を募らせた。
ルガーノ市長ミケーレ・フォレッティ氏によれば、このスイスの小さな都市は彼にとって外の世界からの「安全な避難場所」だという。デヴァシニ氏はスポーツバーの上にある質素なオフィスで仕事をすることが多く、ビットコインをテーマにしたイタリアのパンを出すレストランでフォレッティ氏と一緒に食事をする。デヴァシニ氏の妻は湖の近くの公園でビットコインの匿名の生みの親であるサトシ・ナカモトの彫刻を公開した。
デヴァシニは仲間にアメリカには行かないと告げる。あるチャットグループで、彼は、米国司法省が著作権侵害の罪で引き渡しを試みている、閉鎖されたファイル共有サイト「メガアップロード」の創設者キム・ドットコムの運命について質問した。
2024年4月、米国財務省は、USDTがロシアの軍事力の資金調達に使用されたと具体的に指摘した。 6月には、「USDTは汚職と関係がある」というスローガンがワシントンD.C.とニューヨークのタイムズスクエアの看板に登場した。これは、USDT がテロリストや麻薬カルテルによって使用されているという事実に注意を喚起するための擁護団体によるキャンペーンの一環です。同団体はUSDTを「次のFTX」と呼んでいる。
デヴァシニ氏は、この背後にサークルがいると信じている。 「USDTの信用を失墜させようとするあらゆる試みの背後には彼らがいる」と彼はビジネスパートナーに語った。
アルドイノ氏はその後、USDTの競合他社がこの擁護団体の活動に資金を提供していると公に非難した。過去に環境、社会、企業統治への投資に反対する運動を展開してきたコンシューマー・リサーチという団体は、寄付者の身元を決して明かさないと述べた。
サークル社はコメントを控えた。
しかし、議論に詳しい関係者によると、サークル社の幹部は2024年を通じて米国財務省の高官やその他の当局者と頻繁に会談し、USDTがもたらす国家安全保障上のリスクを指摘した。 2月に議会公聴会でUSDTについて質問された際、サークルの上級政策ディレクターは、USDTがどのように「悪意のある活動」を促進したかを米国当局が調査することを望んでいると述べた。
これらの関係者によると、米国財務省はアメリカの敵国の間でUSDTが広く使用されていることを非常に懸念しており、USDT自体に制裁を課すかどうかも検討しているという。これにより、USDT は米国の銀行システムから排除され、そのビジネスはおそらく破綻するだろう。財務省はまた、USDTを標的として米ドルに裏付けられた外国のステーブルコインを取り締まるための新たな権限を議会に申請したが、これらの権限は承認されなかった。
ニューヨーク州選出の民主党上院議員キルステン・ギリブランド氏とワイオミング州選出の共和党上院議員シンシア・ラミス氏は4月、規制されていないステーブルコインを禁止する法案を提出した。ラムミス氏は当時、「もし選択しなければならないなら、USDTではなくUSDCを選ぶだろう」と語っていた。
米国上院議員シンシア・ラミス氏、暗号通貨を規制する法案を提出
サークルはまた、ステーブルコインの発行者に現金準備金の少なくとも30％を現地の銀行に保有することを要求する新しい規制の下で、欧州連合で事業を行うライセンスも取得した。 USDTは、シリコンバレー銀行の破綻を例に挙げ、リスクが増大すると主張し、この条件に反対している。これに応じて、Coinbaseや他の取引所はEUでのリストからUSDTを削除しました。
Circleにとってもう一つの勝利は、12月に世界最大の暗号通貨取引所であるBinanceがUSDCの使用を促進するためにCircleと提携したことだ。かつては自由奔放だったこの取引所は、長年にわたり USDT 取引の中心地となってきました。しかし、2023年後半、バイナンスが米国の金融犯罪法に違反したことを認めた後、同社もアレール氏の側に立った。
新政府
デバシニ氏には切り札がある。それは、ルトニック商務長官だ。ルトニック氏の会社カンター・フィッツジェラルドは、米国債準備金をUSDTで保有している。
ルトニック氏は、カンターが2024年4月に転換社債を通じてテザーの持ち株会社に投資する契約を個人的に交渉した。翌月ルガーノでラトニック氏と会談した後、デバシニ氏は同僚に対し、トランプ大統領の同盟国はテザー社に損害を与える可能性のあるいかなる法案に対しても拒否権発動を求めるだろうと語った。デヴァシニ氏は、ルトニック氏もサークルを嫌っていたと付け加えた。
米商務省はコメント要請に応じなかった。カンターの広報担当者はコメントを控えた。
ルトニック氏に近い人物は、ルトニック氏がデバシニ氏とトランプ陣営を結びつける手助けをしたと語っている。トランプ氏の勝利から1カ月後、テザー社は保守系ストリーミングプラットフォーム「ランブル」の株式を7億7500万ドルで買収したが、この取引はカンター氏が監督した。ドナルド・トランプ・ジュニア氏の側近であるランブルのCEO、クリス・パブロフスキー氏はツイッターで、テザーは「アメリカの自由」を広めていると述べた。
トランプ大統領は、商務長官に任命される数日前の2月にハワード・ラトニック氏と大統領執務室で会談した。
ルトニック氏の承認公聴会で、上院議員らはテザー社がもたらす潜在的な利益相反について同氏に圧力をかけた。彼は、Tether の市場が大きいという理由だけで、犯罪者が USDC よりも Tether を使用することが多いと主張しました。 「犯罪者がiPhoneを使っているからといってAppleを責めるようなものだ」と彼は語った。
マリア・キャントウェル上院議員（民主党、ワシントン州）から、ラトニック氏がテザーを規制する法案を阻止するつもりがあるかと尋ねられると、ラトニック氏は、議会は「ブロックチェーンにおけるドルの覇権」を損なわないように注意すべきだと繰り返し主張してきたと答え、テザーのような企業が市場シェアを失うことのないよう、彼らにとって負担が大きすぎる法案を議会は制定すべきではないと示唆した。
同氏はテザーに関するいかなる連邦捜査にも干渉しないと約束するところまでは至らず、政府の倫理法に従って職務を遂行するとだけ記した。デヴァシニ氏とのこれまでの話し合いについて、ルトニック氏は「テザー社で不適切なことをするつもりだとは誰にも示唆していない」と書いている。
トランプ大統領は「世界中で合法的なドル・ステーブルコイン」を推進することを目的とした大統領令を発令した。この大統領令により、廃止または改正すべき規制を検討するため、ルトニック氏を含む大統領仮想通貨タスクフォースが設立された。
ルトニック氏がカンター社を去った後、ルガーノのテザー社でインターンをしていた息子のブランドン・ルトニック氏が同社の会長に任命された。
一方、サークルは暗号通貨に友好的な候補者を支援するスーパーPACに100万ドル、トランプ大統領就任委員会に100万ドルを寄付した。
キルステン・ギリブランド上院議員は、合法的な暗号通貨企業が公正な市場で競争できるようにする法案の提出を支援した。
2月に、ラミス氏とギリブランド氏は共和党の上院議員2人とともに新たなステーブルコイン法案を提出し、アレール氏はこれを公に歓迎し、同様の提案が下院でも提出された。ギリブランド氏はインタビューで、この法律により、合法的な仮想通貨企業が「セキュリティ基準や透明性を持たない詐欺師に不利な立場に置かれたり、弱体化したりすることなく」公正な市場で競争できるようになると述べた。
「テザーはまだ要件を満たしていないと思う」と彼女は語った。
USDTは12月中旬に一部の取引所から上場廃止されて以来、その成長は鈍化している。
Circleの株価は急騰し、2月初旬にはUSDCの合計価値がついにシリコンバレー銀行事件前の水準を超えた。同社はニューヨーク市の世界貿易センターにある新本社に移転する。
